第10章 歪み(モブサイコ編)
「一松は無理やりカラ松に跨ったの?」
そう聞くと一松は小さく首を横に振った。
「じゃ、カラ松が跨れって言ったんじゃねぇの?」
今度は小さく縦に首を振る。
俺はなーんだと大きく息を吐いて背伸びをしながら言った。
「カラ松がそうしたかったんだから一松が自分を責めることないじゃん?これでカラ松が死んだって自業自得だし、良い冥途の土産だろ?助かったなら一松に辛い思いさせずに済んで結果オーライじゃん?どっちにしてもさ、カラ松はお前にそんな顔してほしくてやったんじゃないと思うぜ?」
「そうだよ、一松兄さん!」
小さい十四松は一松の膝の上に移動して元気に飛び跳ねて見せた。
一松は十四松に小さく微笑んで見せた。
「あ、あり・・・がとう」
「一松、その感謝の言葉はカラ松に言ってやれよ?」
「うん」
俺と十四松はその場を後にした。
家に帰ってしばらくすると電話が鳴った。
トド松が慌てて電話を取りに行く。
「もしもし、松野です・・・一松兄さん!カラ松兄さんは!?」
少しの間何やら説明を聞いているのか頷いていたトド松が涙を流して微笑むのを見て俺達はハイタッチをする。
「トド松、一松は何だって?」
「カラ松兄さんの手術は無事成功したって、意識もさっき戻って、特に問題なしだって。しばらく入院するから着替えを持ってきてほしいってさ」
俺達は着替えと各々お見舞いを持って病院に向かった。