第8章 新境地
「僕のは恋招きって書いてある~。僕より兄さんたちが持った方がよさそうだよね~」
何か言った?と言う僕達を無視してトド松はスマホに付けているようだ。
「おそ松兄さんのは何招きなの?」
「ん~とね・・・おっ!勝ち招きだって!」
これはさっそくパチンコか競馬に行かなくちゃな~と言って財布にストラップを突けながらあわただしく出て行った。
そんなおそ松兄さんの背中をため息をついて眺めるカラ松の手元を覗き込んだ。
「カラ松と一松のも同じストラップなんだろ?何招きなの?」
「俺のは力招きで一松のが幸招きだ」
そう言ってカラ松はストラップを取り出して見せた。
「力招きって・・・カラ松兄さんは元々馬鹿力あるじゃない」
トド松が言う。
僕も合わせて頷いた。
「ノンノンノン、これを見るんだブラザー」
そう言ってカラ松はストラップの台紙の裏を僕たちに示してきた。
そこには力招きの細かい説明が書かれていた。
『自分に打ち勝つ力、困難に立ち向かい乗り越える力、大切な人を守る力が欲しい人におすすめ』と書かれていた。
すると、隣からボンッと言う音がして振り向くと一松が赤い顔をしていた。
これはカラ松が痛い目を見るかもしれないと思い慌てて話を逸らす。
「い、いいいい一松のは何招きなの!?」
「え、ああ・・・僕のは・・・」
「幸招きだ!」
なっ!とカラ松が一松の肩を抱く。
するとトド松が鼻で笑って言った。
「闇松兄さんにはぴったりだね」
「ひっ!!」
僕は思わず悲鳴を上げた。
地雷踏んだよトッティーーーー!!!
思った時にはカラ松が目の前から忽然と姿を消していた。
僕の横で十四松が窓の外を眺めていた。