第2章 想い
カラ松side
路地裏から足早に去っていく一松の後姿を俺は見つめ呟いた。
「ごめんな・・・一松」
俺は一松を守ることができなかった。
あいつは心を閉ざしてしまった。
あの日以来、あいつは今も一人で苦しみ続けている。
時々悪夢にうなされてはああやって抜け殻の様になり彷徨い歩く。
悪夢を見ているときは何をやってもどういうわけか目覚めない。
俺はうなされるあいつを起こしてあげることもできず、ただただ抱きしめてあいつが目覚めるのを待つことしかできないでいる。
なのに、今日は気づいてあげることすらできなかった。
なぁ、一松
気づいているか?
俺は、お前のことを
愛している。
あの日、唯一の友達を殺され、傷つくお前を見て守ってやりたいと思った。
兄弟としてではなく一人の人間として愛おしいと思った。
避けられるようになっても、変わらず十数年間お前だけを見てきた。
だけど、今日はお前が苦しんでいる横で呑気に鼾かいて・・・
俺は兄としても一人の男としても失格だ。
俺は膝から崩れ落ち、路地裏で一人すすり泣いた。