第1章 壱ノ華
「では、こちらにお入り下さい。」
『ありがとうございます。』
ジルに室内に入るよう促され、足を踏み入れる。
そこには複数の男の人達がいた。どの方も容姿が整っていて、眩しいくらいだった。
「この方が、急遽ここの城で働く事になります。
皆さんの身の周りのお世話をして頂くことになっています。」
『ハルカっていいまふ!
よ、よろしくお願いします。』
ジルの紹介の後に挨拶をして頭を下げる。
か、噛んじゃったぁあ!!!!
どんどん顔の熱が上がっていくのを感じて、長々と頭を下げる。
「ご紹介します。
右から
この城の騎士団長を務めています、
アラン=クロフォード。
今はプリンセスのダンスレッスンの為、
ここに滞在していただいています、
ルイ=ハワード公爵。
宮廷官僚をしていただいています、
レオ=クロフォード。
プリンセスの執事、
ユーリ=ノルベルト。
そして、この私国王の側近、プリンセスの教育係の、
ジル=クリストフです。」
な、名前いっぱい過ぎて、わ、わかんないぃぃ!!
顔だけ覚えよう、そうしよう…。
この方達の身の周りのお世話、か……。
頑張ろ!!!
僕が張り切って、もう1度、よろしくお願いしますと頭を下げると、ジルは唇の端を上げて微笑んだ。