With Live Planet _この星で生きる_
第5章 最怖の相手
ガブリエルside
ラーファを部屋に運び、ミカエルの部屋へ戻る。
机の周りにいた3人がいないと思ったらいきなり名前を呼ばれた。
「あっ、ガブリエルひゃん!助けてっ!ガブリエルひゃん!」
呂律が回ってるのか、回ってないのか
そんな口調で僕を呼ぶ。
ベッドの方から聞こえるが、ミカとウリ
しか見えない。
いや、1本の細くて白い手も見えた。
それを掴んでグイッと引っ張ると、
アテラスが釣れた。
「ありがとう、ございます…」
「なにしてんの?女の子なんだから気を付けなきゃ。ミカもウリも酔ったらキス魔だからね?」
いつもいつもこの2人は酔うと抱きついてきたり、キスしてきたり大変なのに
女の子なら尚更だろう。
「ありがとう、ございます」
顔のすぐ近くにアテラスの顔があるので
彼女の吐息が顔にかかった。
顔がほんのり赤いのでまだ酔ってるのだろう。
「水飲んだら?呂律回ってないよ」
ふらついて転ばれても困るのでそのまま手を引き、椅子に座らせる。
冷蔵庫から勝手に冷えた水を上げると
そのままグイッと飲み干して落ち着いたようだ。
「酔いはもう覚めたの?」
「はい、ビックリしすぎて…」
苦笑気味に答えるアテラスは戦闘中とは全く違った。
戦闘中は感情がないような、そんな顔をしている。
「…戦闘中とはまったく雰囲気が違うね。どっちが本性なの⁇」
思ったことを素直に聞いてみると、
頭に手をやりながら答えてくれた。
「どっちも本性ですよ。戦争中の地球での名残…みたいな感じで」
チキュウの戦争は酷かったと聞く。
最先端技術のぶつけ合いから始まり、
最後は一騎打ち。
彼女を変えるほどのそんな戦争。
もう1つ質問をすると、驚きの答えが返ってきた。
「何度も死闘を繰り返して、大切な人も殺されて、生きる希望を失った時に私は強くなったと思います」
彼女の言ってる意味が分からず、思わず
首をかしげる。
「大切な人を失って、生きる希望を失ったのに強くなったの?」
「はい、どうでもよくなったんです。
周りなんて。」