With Live Planet _この星で生きる_
第5章 最怖の相手
アマテラスside
「…負けました」
静かに、小さく聞こえた。
とっさの判断でやった攻撃がたまたま成功した。
世に言うお姫様抱っこで戦は終わりを迎えた訳だが、彼は言い訳をするのではなく、感情を出すのではなく敗北を告げた。
私が下ろそうと思ったら、彼が自分で下りた。
戦った後なのに心がほっこりする。
勝ったのは私だが、彼を尊敬したい。
「これはいっぱい取られましたね?」
「そうですね、僕の負けです」
ウリエルさんのちゃかしにも、淡々と答えている。
「かっこいい……」
思っていた気持ちが溢れ出て、うっかり言葉となった。
自分の声を聞き、ハッとする。
私何言ってんだろ…
「さて、このように最後まで諦めなければ勝てる、ですね!皆さん頑張りましょう」
「おぉぉぉぉー!」
どうやら士気が高まったようだ。
「ありがとうございました。ガブリエルさん」
「ん。いいもの持ってるね」
またまた驚きの言葉に私はへ?と、なさけのない声を出したがすぐにガブリエルさんは背を向けてしまった。
何人かの人に指導のため、声をかけたら
「かっこよかったです」などと褒めてくれた。
アースベインに来て、初めて嬉しいと思った日となった。