With Live Planet _この星で生きる_
第5章 最怖の相手
PM0時30分ー
「さて、アテラスさんは初仕事ですね。
今日は格闘練習です。
武器に頼りすぎはダメですからね?」
「誰かと組んでやればいいんですか?」
「はい、お手本となってほしいのです。
私と殺りあった時のようにね?」
そう言って笑っていたが、目は笑っていなかった。
「あ、あはは。分かりました…」
私もなんとか笑おうとしたが、引きつっていただろう。
「私じゃ相手にならないので、リエル。
頼みましたよ」
「いいよ、でも死ぬ気で来てね?」
そう言ってガブリエルさんは私の方を見る。
「ダメダメ!アテラスちゃんが本気出すときは麻酔銃がないと!」
え、私は獣扱いですか…。
「アテラス、リエルに遠慮はいらんぞ。
手を抜いたらお前が怪我をする」
この中で一番まともなのラファエルさんじゃ……いや、パンツ見たし。
しかしこの忠告は聞いておくべきだ。
「はいっ、怪我をしないよう頑張ります!」
そこから私達はミカエルさんを残して転送装置で移動をした。
移動先はいつもと同じ広い場所。
違うのは地面ではなく、床でゴム製だろう。
「ガブリエルさん、少しだけ練習していいですか?」
正直初の相手とやるのは難しいので、
練習という名の口実で探りをすることにした。
「いいよ。でもあまり力は出さないからね?」
私は了承し、始めた。
本気を出さないにしても癖などは出るはずだ。
ごく一般的にパンチやキックを繰り返し、ごく一般的に交わしていく。
「ーわっっ!」
2回目の回し蹴りをしたら、1回目は足を交わすだけだったのに2回目は足を掴んできた。
ードタンッッ
「…ったぁぁぁぁ」
私は油断していたため、受身を取れないまま投げられた。
「どうしたの?まだこれっぽっちも力だしてないよ?」
そう言ってガブリエルさんは力を指で表していたが人差し指と親指の間に隙間は確認されない。
私は立ち上がり、ほんの少しだけ力を出す。それだけでも蹴りや拳のスピードは3倍以上上がってるはずだ。
「ーぅぐっ!…ぃたたた!」
それなのに彼は私の拳を交わし、手首を掴むたびに、私を地面に叩きつける。
その度に「調子悪いのー?」だとか
「本気じゃないのに…」と言ってくる。