With Live Planet _この星で生きる_
第14章 誰が守れるか
星を救ってから18日後。
朝に目を覚ました私のベットの上に頭を預けて、寝ているスゥは朝日を浴びていた。
頭を撫でるとサラサラの髪から石鹸のいい香りがした。
「…ん、おはよ。花凛」
「起こしちゃった?ごめん」
ムクッと体を起こして目をこするスゥは欠伸をしながら笑っていた。
「朝ごはん貰ってくるね。ちょっと待ってて」
小走り気味で彼が部屋を出て行った後、私は布団をめくった。
「本当に、足がない…」
ペラペラのパジャマを触って改めて確認すると乾いた笑いが出た。
両手、左足、上半身は包帯巻きでなかなか身動きは取りづらいけど動かせる。
でもどうやったって右足は…。
もうウジウジするのはやめよう。
なくなったものはもう戻らないのだから。
「ただいま〜。朝ごはん美味しそうだよ」
その声で私は慌てて布団を元どおりにして、リクライニング操作をした。
「ありがとう、スゥ。食べよっか」
今日はどんなにゆっくりでも自分の手で食べたかったので私はスプーンを握ってスープを飲み始めた。
「…スゥ達を置いてここに来たこと怒ってる?」
私は気になって見たことを聞いてみた。
「うん、怒ってる。すごく怒ってる。
相談なしで行っちゃうし、1人で全部背負っちゃうし、感情隠そうとするし、今だって無理して自立しようとしてるし、頼ってくれないし、それから………「だ、だいぶお怒りですね」
息継ぎなしでバーっと言葉を並べるスゥに圧倒されたがその目は潤っていた。
彼は本当に私のことを心配してくれた様だ。
「俺、分かったよ。戦争中に花凛が捨てちゃったもの。今の花凛に欠けてるもの」
その言葉の先を私は促す。
「それはね〈自尊心〉だよ。
もっと自分のことを大切にしないと。
自分の中に生まれた感情は我慢しないで」
自尊心…と心の中で復唱した。
初めて聞く言葉で「それだ!」とはならなかったが、感情を大切にしようとは思う。
「そっか…。いろいろごめんね。これからはもっと自分を大切にするよ」
私がそう言うとスゥはニコッと笑いながら頭を撫でてくれた。