With Live Planet _この星で生きる_
第14章 誰が守れるか
「泣かないで。私のためを思って切ってくれたんでしょう。死ぬよりマシよ」
私は手で涙を拭ってあげると、救護員はもっと涙を流したけど笑ってくれた。
本当に思ってる。死ぬよりはマシだ。
死ぬ気で向かった戦場から、足一本失うだけで済んで生きて帰ってこられたのだから。
「ありがとう。君に怪我は無い?」
「…は、い。ありません…」
ならいいよ、と私が言ったところで彼がちょうど呼ばれたので礼をして出て行った。
「…花凛?無理してない?」
スゥとは反対の側にある彼が出て行った扉を見ながら私は「大丈夫」と言った。
「こっち見て。本当に大丈夫?」
「本当に…大丈夫だから」
また私は彼の方を見ないで言った。
目から流れてきた涙を見られたくない。
声を震わせないようにするのに精一杯で、涙が止まらなくなった。
私は必死に感情を押し殺していると、ふわっと優しい匂いと、温かいぬくもりを感じた。
スゥが私に優しく抱きついてきたのだ。
「泣いていいよ。無理しなくていいから今は俺たちしかいないから…」
そんな優しい声に私の感情をせき止めていたダムは崩れ去った。
戦場へ向かう時に必死に隠した不安。
戦ってる時に必死に隠した恐怖。
たった今必死に隠した悲しみ。
全てをスゥにぶつけると彼は柔らかく温かく包んでくれた。
私が落ち着くまでずっと背中を撫で続けてくれた。
「…落ち着いたかな?全部隠さないで言ってくれてありがとう。
もう疲れたでしょう。寝てもいいよ」
そう言いながらスゥは私を寝かせてくれた。
「おやすみなさい、花凛」
そう言ったスゥは私の手をずっと握っていてくれた。