With Live Planet _この星で生きる_
第14章 誰が守れるか
スゥside
「花凛お姉ちゃん、遅いね」
オムライスを食べ終わったリュウがお皿をスプーンで叩きながらそう言った。
確かに2度目に出ていってからもう30分は経っている。
「リュウ、花凛のところに行こっか」
俺はリュウを抱き上げて、またしてもテレビの方へと向かった。
「すみません、花凛を見ませんでした?」
テレビに釘付けの村人に話しかけると、その人は震える手で指をさした。
ーその方向はテレビ。
訳が分からないまま、テレビの方を見ると信じられない映像が流れていた。
「ぇ…花凛…⁉︎」
銃と剣を持ち、先ほどまで隣にいた花凛が大勢のロボットの中心で死闘を繰り広げいた。
「お兄ちゃん…あれ、アマテラスさん?」
リュウも戸惑った顔でテレビを見ている。
「あぁ、我らの女神様っ!どうかお助けくださいっ!」
1人がそう言うと、みんなテレビに向かって祈りを捧げている。
違うのに…花凛は女神なんかじゃない。花凛は優しい女の子であって、星を救う女神じゃない!!
ガブリエルさん達が戦って負けたのに、たった1人の女の子が剣を持ったところで何も変わらない。
花凛が死んじゃったら…。
そんなことを思いながらもテレビを見ていたら不意に彼女がカメラ目線になった。
決意を固めて誰にも揺らがせる事のできないその赤い瞳。
目で語る、『必ず勝ってやる』と。
「花凛、頑張れぇぇぇぇ!!」
届くはずのない声を俺は人目を気にせずに叫んだ。
ぎゅっと目をつむり、神様に祈る。
大丈夫、きっと花凛なら…
「ゔんっっ…あぁぁっ!」
そう思った時、うめき声が聞こえた。
目を開けて、テレビを見ると花凛が自分の足に深く刺さった剣を引き抜いていた。
カメラにも血が飛び、テレビ画面の半分が赤黒く染まった。
村民からも悲鳴が上がる中、テレビの向こうにいる彼女だけがまた動き始めた。
痛いはずなのに、苦しいはずなのにその目から光が失われていない。
「…リュウ、行かなきゃ」
俺はリュウを抱えて走り出した。