With Live Planet _この星で生きる_
第13章 私の正体
うわ、こんな風に前も映ってたのか…
テレビで見ると、思ったよりも顔がアップで映ってるし画質も綺麗だ。
「前はここで花凛を見たとき、カッコいいなんて言葉じゃ表せないほどの衝撃を受けたんだ」
スゥがそんな事を言うから私は照れてしまった。
あれ、なんだかみんな少し痩せたみたい…
ちょ、その攻撃は流したらっ…ほら、建物に当たってる!
なんだかとてもウズウズする。私ならあそこから爆弾で片付けちゃうのに、なんて思ってしまう。
もう私は関係ない、守る側なのに…
「花凛、見るのキツイなら戻ろうか?」
「いいの?…ごめん、そうする」
私達は人ごみの中から外れて家へと戻った。
今まで死人も侵略を許した事もないと言っていたし、さほど心配はしていない。
家に着くと、スゥはすぐにキッチンに立つ。
「お昼食べよっか。オムライス作ってあげるからね」
私とリュウもお揃いのエプロンをつけてお手伝いをする。
私がサラダを盛っていた時、急にスゥがこんな事を言ってきた。
「俺、最低な奴だ…。
さっきの中継見た時に花凛が逃げてきてくれてよかったって思った。
前に見た時はテレビの向こうの女神だったけど、今は隣で料理してて、ガブリエルさん達になんだか勝ったような気分で…。
俺はこんなに花凛の笑顔見れてるんだぞ、俺には過去を打ち明けてくれだんだぞ、みたいな優越感がある」
玉ねぎを切っていたスゥの目には涙が浮かんでいた。
玉ねぎのせいなのか、違うのかは分からないが、リュウが涙を見せるのは初めてだ。
「私は彼らといるより、今はスゥといた方がずっとずっと楽しいよ」
だから罪悪感感じる必要ないよ!」
幾らか背の高いスゥの頭を冗談半分で撫でてあげる。
その瞬間ーー。
リュウに突然抱きしめられてしまった。
「…俺は花凛が好きだ。ずっと好きだった。」
抱きしめられているので彼の顔は分からないが、背中に回っている腕の力が本気だと示している。
私もスゥが多分、好きだ。
お兄さんとして頑張っている姿も、たまにドジして照れ笑いしてる姿も。
全てが愛おしいのはきっと恋してるからだ。
「ありがとう、スゥ。私も好きだよ」