With Live Planet _この星で生きる_
第10章 私は誰でしょうか
「アマテラスさん…大丈夫?」
涙を流したままリュウは私の足を見ている。
そんなリュウを私は抱っこする。
「大丈夫だよ…ほら、泣かないの。
次に泣いて良いのはスゥに何かあった時だよ?」
そう言って私がハンカチを渡すと涙を拭いて、「うんっ!」と返事をした。
「アマテラス…何も出来なくでごめん。
ガブリエルさんと話してたのはこの事なのか?」
「うん…私がこの村にいることが報道されちゃったみたいでさ。
こっちこそ危険な目に合わせてごめんね」
私がいると悪党が来るというなら明日まで滞在するのはなかなか厳しいと思う。
私はとりあえずガブリエルさんに今あった事をメッセージで報告する。
それからすぐに返信が来る。
「大丈夫⁇他の人には言っといたから。
…悪いんだけどすぐに帰ってきた方が良いと思う。じゃないとアテラスも村も………」
私もそう思っていたので「分かった!」
と返信しておいた。
ただいまの時刻は23時。
まったく迷惑な時間に悪党どもはやってくれた。
「スゥ、村長にお話があるからちょっと行ってくる」
と言って、痛む足をかばいながら村役所へと向かった。
役所につくと村長をはじめとする役員が悪党どもの始末に追われていた。
「おぉ、アマテラスさん!ご無事で何よりです!どうされましたか?」
「先ほどの件のせいで今日中に帰らないといけなくなったのでご報告をと思い…」
「そうですか。村の事を守っていただきありがとうございました」
それから始末の手続きなどを私が代行して、帰る支度は整った。
「お忙しいと思うので見送りは大丈夫ですよ。2日間、お世話になりました」
そう言って私は村役所を出た。
それからまたスゥたちの家に戻るとリュウはもう寝ていた。
今日中に帰らないといけなくなった事をスゥに伝えると残念そうにしたが、事情が事情なので分かってくれた。
「アマテラス、時間があるならリュウに一言でも良いから何か手紙を書いてくれるか?明日目を覚まして、アマテラスがいないとまた泣くかも……」
そう言って、弟思いのスゥは私に紙とペンを渡してくれた。