With Live Planet _この星で生きる_
第10章 私は誰でしょうか
今日会ったばかりの私にこんなことをされても、戸惑うだけかと後から思ったがもう遅かった。
それでもスゥは返事してくれた。
「…うん、ありがとう」
少しの涙声で私の背中に腕を回した彼の体は震えていた。
「…あ、兄ちゃんずるい!僕も!」
そう聞こえたと思ったら、リュウも私に抱きついていた。
「リュウ、今日は一緒に寝ようか」
私がそう言うとリュウはとても嬉しそうな顔をした。
「良かったな」と言ったスゥは鼻をすすりながら、笑っていた。
そんなこんなで作り終えた郷土料理は
ものすごく美味しかった。
「午後からは何をするの?」
「うーん、決めてなかった…」
アトリ村に来た理由はリュウの事を信じてもらうために来たから、目的は果たしてしまった。
「あっ、リュウ達と遊びたい!」
村を回ってる時に公園を見かけたので、そこで遊びたいと思った。
「遊ぶっ!スゥ、良いでしょ?」
「いいよ、じゃあお片づけしよっか」
リュウは1番に立ち上がり、小さいながらもお皿を棚に片付けたりしてくれた。
この兄弟は本当に苦労してきたからこんなにしっかりしてるのかと分かり、少しだけ悲しくなった。
それから私は堅苦しい軍服からパーカーなどのラフな格好に着替えて外に出た。
私とスゥの間にリュウがいて、双方の手を握ってトコトコ歩いている。
「なんだかここは平和だね、私のいるとことは大違いだ」
「首都で暮らすのはやっぱ大変?」
「私はいつも訓練して怪我してるのが日常だったから…なんかこういうのいいね」
静かで、緑に囲まれてて、血や争いとは程遠いような世界。
護身用に持ってる銃がものすごく不釣り合いの世界。
そんなことを思ってたら背中をポンと叩かれた。
「なら3日間はそんなこと忘れて楽しもうっ!!」
ニコッと笑った彼はリュウと共にピースサインをこちらに向けてきた。