With Live Planet _この星で生きる_
第10章 私は誰でしょうか
朝ごはんを終え、久しぶりに部屋で1人となる。
しかしすぐに訓練場へ行かなきゃなのでそんな寂しさに浸る暇はない。
軍服を整え、髪の毛を結んで転移装置の方へ向かおうとしたが忘れ物に気づく。
訓練の合間にあるお昼休憩にリュウの話をしたいので、手紙を持たなきゃだ。
私は気を引き締めて、部屋を出た。
すっかり転移装置の操作方法も分かり、自分で移動すると既にラーファさんが来ていた。
「早いですね、ラーファさん」
書類を食い入るように見てるラーファさんに声をかけると、顔を上げた。
「ん?….まぁ、スチュアート姉妹の教育係になったからな、こういうのは覚えておくべきだろう」
そう言って見せてきたのは、2人の情報などが書いてある書類だった。
「あの2人って貴族の娘さんなんだぁ〜、どうりで……」
「貴族らしい所なんてあったか?」
「髪の毛とか艶々だったし、爪1つ1つが手入れされてました。腕にしてたアクセサリーとか剣にも宝石ついてたし…」
なんというか、身に受けてるものが良かったと思う。
「戦闘中に相手の爪まで見る時間があるんだな、大した洞察力だ」
「剣が私に当たりそうな時、一瞬だけ動き止まるんですよ。生き物を殺した事がないんでしょうね…」
私は何も考えず、思った事を言う。
だから、こんな質問が帰ってくるとは思わなかった。
「お前は生き物を殺すのに…躊躇や迷いはないのか?」
少しだけ考えてから、自分の意見を言う。
「ーありますよ、でも大事な人を守るのに、自分を守るのにも躊躇や迷いは命取りとなるから、だから考えないようにしてます。」
「…なんかカッコいいな、お前は。俺にはそこまでの決心がつかない」
はぁ、とため息をついたラーファさんは
大きく伸びをした。
ほんの少しだけ困ったような顔をして微笑んでいる。
こんなにリラックスしてる彼を初めて見た。
「そんな不思議そうな顔をするな。俺もまだまだだな。お前を見習うよ…」
そこまで言った時にミカさんとウリさんが来た。
目線をラーファさんに戻すと、すっかりいつもの顔だった。