第9章 ロザリオの祈り(ゾロ+α)
「クレイオ! どうしたんだ、ボーッとして」
「え? ぺ、ペローナ?」
我に返った瞬間、目と鼻の先に怪訝そうなペローナの顔があり、思わず洗濯物を入れていたカゴを落としてしまう。
「あーあ、何やってんだ。せっかく洗った私のスカートが泥まみれになっちまったじゃねェか!」
「ご、ごめん」
「・・・腹でも痛ェのか?」
クレイオが上の空だったのは体調が悪いせいだと思ったらしい。
ペローナは腰に手を当てながらため息を吐くと、地面に散らばった洗濯物を指さした。
「仕方ねェ。今日の晩飯は私が作ってやる。洗濯は明日でもいいから、とりあえず休んでろ」
「私は大丈夫、ちょっと考え事をしていただけだから。夕飯も私が作るよ」
それにしても・・・どうして今、思い出したのだろう。
あの包帯が、十字架の旗に見えたとでもいうのか。
「いいや、またボーッとしてマズい飯を作られたらかなわねェからな。私に任せてりゃいいんだ」
そう言って、一足先に城の方へ飛んでいくペローナ。
クレイオが来るまでは、ゾロとミホークの三人しかいない城の暮らしで寂しいこともあったのだろう。
ようやく友達になれそうな奴が来たとばかりに、なんやかんや言いながらも交流をはかろうとしてくれる。
クレイオはくすりと笑うと、ゾロとミホークが剣を交えている森の方に目を向けた。