第6章 真珠を量る女(ロー)
1週間後。
意外な訪問者達が、クレイオの両替商のドアを叩いた。
「べポ君、シャチ君、ペンギン君、どうしたの?」
いつもはローと一緒の三人だが、今日は船長の姿がない。
それもそのはずだ、ローは今朝までクレイオと一緒にいたのだから。
胸と肩の刺青が彫り終わり、ローとクレイオはそのまま一夜をともに過ごした。
確か、明日の朝には出航すると言っていたけど・・・と、クレイオは瞳を丸くする。
すると、シャチがおずおずと口を開いた。
「あの・・・実はおれ達もクレイオさんに刺青を彫ってもらいたくて・・・」
それは予想もしていなかった言葉だった。
驚きのあまり黙っていると、シャチは慌てて続ける。
「ホリヨシのことも分かってるんだ・・・! そう簡単に承諾してもらえないって・・・でも、おれ達はどうしても船長のシンボルを彫ってもらいたくて」
「ローの海賊旗を・・・? べポ君とペンギン君も・・・?」
クレイオが目を向けると、二人もコクコクと頷いている。
「でもいきなりどうして・・・」
刺青にはあまり興味がなさそうだった三人。
頂上戦争のあと、しばらく姿を消していた数週間の間に何かあったのだろうか。
「おれ達はどこまでもキャプテンに従うつもりだ・・・だけど、いつかきっと、キャプテンはおれ達と別行動を取る日がくる」
「シャチ君・・・」
「キャプテンは・・・そういう人なんだよ。本当に危険なことは自分一人でやろうとするんだ・・・おれ達を巻き込まねェように・・・」
それがどれだけ彼らにとって悔しいことか。
シャチも、ペンギンも、べポも、ローと一緒に海賊をやると決めた日から、地獄へ堕ちる覚悟はできている。
だけど、ロー自身がそれを拒むことも分かっていた。
「たとえ一緒にいなくても・・・おれ達はハートの海賊団。キャプテンと心は一つだっていう、証を刻みたいんだ」
力強く思いを語ったシャチだけじゃない。
べポも、ペンギンも、覚悟を決めた瞳で首を縦に振った。