第2章 ある娼婦と海賊のはなし ~ゾロ編~
正直、ゾロは困惑していた。
シンと静まり返った部屋に、二人の呼吸の音だけが響く。
「・・・・・・・・・」
ゾロは陰毛を全て剃られた彼女の性器に目を向けた。
どのような扱いを受けたのかは知らないが、恥丘は真っ赤に腫れ、白い粘液が太ももの間から垂れている。
「・・・おいおい」
ゾロは呆れたようにため息を吐くと、娼婦の片膝を持ち上げた。
「・・・ッ! な、なにを」
「勘違いすんな、掻き出すだけだ。お前、その気力もねェんだろ」
どんな男か知らないが、自分より弱い女を蹂躙して満足を得るような奴は虫唾が走る。
金のために言いなりになるしかない女を、好き勝手にするような奴は特に。
「ちょっと痛いかもしれねェが、すでにそんだけ殴られてんだ。それに比べりゃマシだろ」
すっかりと開ききってしまっている膣口に人差し指と中指をあて、ためらいなく奥に差し込んだ。
ヌルリとした他人の精液が指に絡む。
アホコックなら発狂しただろうな、とゾロは思った。
そのまま指の第2関節を曲げ、奥に溜まった精液を外に掻き出すと、男特有の咽るような匂いが鼻を突いた。
「ったく、どんだけ溜まってんだよ」
「・・・・・・・・・・・」
こんなことをされたのは初めてなのか、娼婦は両手で口を抑えながら肩を震わせている。
涙目になっているのは、知らない男に性行為の後始末をさせているという羞恥心か。
それとも・・・
「おい、なに泣いてんだ。こっちは力の加減が分かんねェんだ、我慢できないほど痛いならそう言え」
「・・・・・・痛くは・・・ないです・・・」
なのに涙が溢れてくる。
それは、きっと───
「なんなんだ。こっちは汚ェのを我慢してやってんのに・・・変な女だ」
この凶悪な顔をした男の手が、初めて触れる“優しさ”だったからなのかもしれない。