第5章 花火 ~君に残す最後の炎~ (エース)
ザザーン・・・
ザザーン・・・
“クレイオ、おれはお前を永遠に愛している”
打ち寄せる波の合間に、そんな声が聞こえてくるようだ。
“おれが「愛している」と言った時は、嘘偽りのねェことだと信じて欲しい”
打ち寄せる波の飛沫の中に、彼の笑顔が見えるようだ。
“おれが「永遠」と言った時は、決してお前を一人にはしねェと信じて欲しい”
「ええ・・・分かっているわ、エース」
“どうやら「さようなら」を言わなきゃならねェ時が来たようだが、泣くんじゃねェぞ”
ザザーン・・・
ザザーン・・・
“おれの「愛している」と「永遠」は、「さようなら」のあともお前のそばにある”
「安心して・・・私はあなたの全てを信じているから」
すると、もう一度、大きな花火が夏空に咲いた。
それはエースの最期の命のように、キラキラと輝きながら美しく散っていく。
その残り火と一緒に、今度ははっきりとした声が空から降ってきた。
「お前なら大丈夫だ、良い母親になれる。まあ、おれのガキだ、コイツにゃ手ェ焼くだろうが・・・」
───よろしく頼むよ・・・・・・・・・
きっと笑っているのだろう。
その声はとても誇らしく、そして深い愛情に満ちていた。
第5章 「花火 ~君に残す最後の炎~」 Fin.