• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第2章 ある娼婦と海賊のはなし ~ゾロ編~




ゾロがその店を選んで入ったのは、看板に「酒場」の文字が書いてあったから。

理由はただ、それだけだった。

そこが売春宿も兼ねたパブだと知ったのは、カウンター席に座り、ビールを一口飲んだあと。
“一口”と言っても、すでにジョッキ半分の量は喉の奥へと消えていたが・・・

「お客さん、どの子にすんだい?」

「あ?」

何かつまみになるようなものはないかと尋ねようとしたところ、バーカウンターの向こうにいた店主から先に声をかけられ、ゾロは片眉を上げながら鋭い目を向けた。

「そう怖い顔をしないでくださいよ」

ただでさえ、腰に三本の刀を差している、見るからに“危なそうな男”だ。
店主は客の機嫌を損ねてしまったと勘違いしたのか、少し声を上ずらせながら続ける。

「見たところ、旅の人のようだ。泊まっていかれるのなら、良い子を紹介しようと思っただけで」

「へー。ここ、泊まれんのか?」

「ああ、女を買ってくれるならな」

「・・・・・・・・・・・・」

ゾロは空いたジョッキにビールを注ぎ足してもらいながら、チラリと薄汚れた店内を見渡した。

さすが、港町の酒場とだけあって、客層は堅気の人間だけではなさそうだ。
明らかに柄が悪い男3人組が若い女を侍らせているし、親子ほど年が離れた男女がソファで親密そうにしている。

ゾロはただ酒が飲めればいいと思っていただけだが、船がこの島に着いた時のナミの言葉を思い出し、面倒臭そうにため息を吐いた。



/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp