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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第10章 機械仕掛けの海賊はブルースを歌う(フランキー)





男ならば誰もが一度は憧れたことがあるだろう、サイボーグ。

だが、人間と機械を一体化させることのできる科学者は限られている。
否、“限られている”という表現すら語弊があるかもしれない。

一口に“機械と一体化する”と言っても色々あり、その代表的なのがロボットかサイボーグだろう。
しかし、両者は似ているようでその意味合いがまったく違う。

ロボットは人間が機械を“操作”をすることで、本来は持っていない能力を機械に補ってもらうもの。
ある程度の科学力があれば、リモコンや操縦桿で操作をする機械仕掛けを生み出すことはできる。

「フランキー! これ以上はダメだ、血圧が下がってる! 脳波も異常だよ!」
「なんとかもたせろ、チョッパー!! ここの血管とチューブを繋がねェと下肢に血液が回らねェんだ!」
「無理言うなよ! おれの判断でいつでも手術を中止するって約束だったはずだ!」

一方で、今フランキーが造ろうとしているのは、機械と人間の身体を文字通り融合させたサイボーグだ。
本来は持っていない能力の補完だけでなく、それを超人的な能力にまで高める拡張・強化するもの。
そのためには、脳に電子チップを埋め込み、網の目のように広がる神経一つ一つに電子信号を送ることで脳と機械を連動させなければならない。

そのような技術は無論、以前のフランキーには無かった。
しかし、麦わら海賊団が離散していた二年間、ベガバンクが少年時代を過ごしたというバルモジアの研究所で得た知識と技術が不可能を可能にしている。

「いいか、チョッパー。以前のおれは完全なサイボーグじゃなかった。自分の脳は自分で開くことができねェからな、そういう意味じゃ“今”のおれも完全なサイボーグじゃねェ」

「そ、それがどうしたんだよ」

科学者なら、自分の持ち得る技術を試してみたいと思うもの。
海賊でもなく、船大工でもなく、フランキーは今、ベガバンクの域にまで手を延ばそうとしている一人の科学者だった。








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