第12章 LILAC
暑いシャワーを浴びた俺はソファーに身体を預け一息付く。
見計らった様になるコンシェルジェ直通電話。
戻ったか・・
と、思い電話に出た俺は唖然とした。
《申し訳ございません。
担当の者が追尾していましたが途中見失ったとの事で・・》
「見失っただと・・
女と馬鹿でかい犬だぞ!?」
チョロチョロ動く子どもならまだしもあのペポを見失うとはありえない。
《ドッグランまでは確認しておりますが、その後忽然と姿が消えたとの事で・・》
いつもテキパキと対応するコンシェルジェも動揺を隠せないのか言葉を濁す。
「変わった様子は?!」
《・・特に報告は・・・
ドッグランを使用していた犬連れの男性客とお話になられていたご様子ですが》
「どんな犬だった?」
大型犬も使用可能なドッグランは都内でも数が少ない。
ペポも気に入り、よく使っていた。
《えー、土佐犬だそうです》
土佐犬・・
男・・・・・
サモエドはこの辺りでは珍しい犬種。
よく話しかけられていたが、そのドッグラン使用者の中でも異様な雰囲気を醸し出していた男が思い当たる。
土佐犬を連れた、スーツ姿の男。
アイツか・・・
話しかけたりして来なかったがサモエドに興味がある様子だった。
何より、あの土佐犬はメスだ。
ペポのヤツ!!
色気付けやがったなッ!!!
オマケ→