第31章 BURDOCK
さぁ、今月は忙しい。
年に1度の大イベント時期。
街も人も活気に満ちている。
それはここも例外無く、活気というより殺伐としていた。
『書類は出来てるの?!』
「今すぐに!」
『ここやり直して』
「はい!」
『こっちはダメよ、あっちに移して!』
「はい、これは?」
『それはこのままで構わないわ』
大忙しのオフィス。
私は部下に指示を出し、社長室へ向かった。
ノックの後、返事を聞き部屋に入る。
『失礼します!社長、新規の・・・』
「あら、久しぶりね」
そこにはロビンがいた。
あのパーティー後、米国に帰っていた事は知っていたが帰国した事は知らなかった。
『・・お久しぶりです。
来ていらっしゃったんですね』
「ええ、挙式の日取りも決まったのよ。
も是非、出席してね」
結婚式・・日取り・・・
そうか、決まったのか・・
『おめでとうございます。
喜んで出席させてもらいます』
ニッコリ微笑むロビンに笑顔で返す事が出来た。
今までの私だったら、顔に出ていたかもしれない。
だけど、この時は本当に心から喜ぶ事が出来たんだ。
私とクロコダイルは幼馴染だとしても今は違う。
あの頃何でも知って、お互いに秘密はなかったけど、あれから何年も経ってもういい大人だ。
それぞれの生活があるし、それぞれ想う人もいるだろう。
大切なお兄ちゃんを奪われた気持ちとは、もうサヨナラしなきゃいけない。
クロコダイルには幸せになってもらいたかった。