第29章 MIMOSA
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数日が過ぎた。
あの晩、名前を言い間違えた事を有耶無耶にしてくれなかったドフラミンゴ。
頬へのキスで誤魔化した。
それ以降は意識して呼ぶ様になり、ドフラミンゴとの生活にも慣れ、仕事にも支障無く出勤出来ていた。
だが、1つだけまだ慣れない事があった。
「あっ!姫ッ!!
こっちこっち〜ッッ!!」
両手を振って私を呼ぶのは、シュガー。
ドフラミンゴの側近の1人。
幼い容姿だが、やはり言動も子どもぽい。
周りの注目を浴びる中、慌ててシュガーを車に押し込み私も乗り込んだ。
『シュガー止めてって言ったよね?』
焦る私に御構い無しのシュガーは、楽しげに笑うばかり。
ワザとやってるのでは、と思ってしまう。
「姫、若がお待ちだ」
運転席にいるのはトレーボル。
そう、心配性のドフラミンゴは送迎の車を付けた。
男女ペアでワザワザ私のために時間を割くのは悪いと何度も言ったが聞き入れてもらえない。
「姫明日も私が迎えに来るよ〜っ」
嬉しそうに腕に絡んでくるシュガー。
『あっ、明日は職場での送迎会なの・・
だから、迎えは大丈夫よ』
「・・だったら、お店に迎えに行くわ」
そ、それはご遠慮願いたい。
職場での飲み会だ、クロコダイルが来る可能性もあった。
勿論、クロコダイルには今回の事は何も言っていない。
知られたくなかった。
クロコダイルとは、あれから何事もなく上司と部下だった。
いつもなら何らかの事を言ってくるが、今回は何も無い。
言われたら言われたで対応に困るのだが、何も無いと逆にモヤモヤしてしまう。
『いい!大丈夫!
何時になるかわからないし、帰りはタクシーを呼ぶから大丈夫よ』
どうにかシュガーを納得させ、安堵のため息を吐く。
「あ?若がいねぇ」
待ち合わせの場所に着いたのか、車のスピードが遅くなりやがて止まった。
「あら、ヴェルゴ。若様は?」
シュガーに続いて降りた場所は、高級マンションの目の前。
そこにヴェルゴと高価そうなスーツを身に付けた男が立っていた。
「ドフィは急な会議だ。
抜けれねぇから俺が代わりに来たんだ」
よく話を聞くと、今夜は私の部屋候補を見る予定らしい。
ドフラミンゴも来る予定だったが来れないようで、私達4人をスーツ男 木村さんが案内していった。