第23章 TRUMPET VINE
着いた!
やっぱり日本がいい!日本語がいい!
『では、社長お疲れ様です。
お先に失礼します!』
長いフライト。
長い出張。
何もかも解放された。
3日も休みが取れた私は、ゾロに会うために店へと直行する予定。
「おい、待て」
『・・何かご用でも?』
「あの野郎の所に行くんだろ?送ってく」
その申し出は嬉しいが・・
『お気にならず私は電車で帰りますから』
今まで社長と一緒だった。
その上送ってもらったりして、それをゾロに見られたら火に油を注ぐ事になりかねない。
私は今度こそ呼び止められないうちに足早に走り去る。
出張中、社長とは何もなかった。
今までの事を考えたらおかしいぐらい、何も無かった。
まるで紳士だったのだ。
それをゾロが信じてくれるかわからないけど、信じて欲しいと思う。
流れる車窓の景色。
早く着いて欲しいと願う。
今日帰って来る事はゾロも知っている。
最終の車内は空いていて余裕で座れたが足元にあるキャリーケースは大き過ぎて邪魔にならない様に立って乗っていた。
駅に着いたらコインロッカーに預けよう。
店に持って行ったら邪魔だし、帰りに取りに行けばいいよね。
そう、考え私はゾロへのお土産だけを手持ちのバッグに仕舞っていた。