第21章 CYCLAMEN
【オマケ】
「はいーーすみません、はいーーーー
ーはい、わかってますーーすぐ戻ります」
ベッドに腰掛け電話を切った。
相手は、店のマネージャー。
ため息を吐いた俺は徐に、散乱した衣服を身に付け始める。
『行っちゃうの?』
行為が終わった後、眠るように意識を失った。
毎回ピロートークなど皆無で、実際まだ寝てると思っていた。
振り返った俺は、驚いた表情を見せるの頭を撫でる。
言うつもりはなかった と、表情で読み取れた。
「起きたか・・
店に戻る、お前は寝てろ」
起き上がろうとするを留め、俺は身支度を済ませる。
行って欲しくないのか視線を外さないに俺はキスをした。
「鍵は持って行く。
こっちに帰って来るからお前は家で大人しく待ってろ」
そう言えば、花が咲き誇った様な笑顔を見せてくれた。
もう1度キスを落とし、俺は部屋を出る。
出てから気付いた。
にあの言葉の意味を聞く事。
何か言いかけていたが別れ話なんての口から聞きたくなく、咄嗟に口を塞いだ。
あの様子じゃ別れ話の可能性は無い。
「だったら何だ?
・・・あのタイミングだろ?」
に礼を言われる事をした覚えはない。
俺がに対してする事は、全て当然の事だと思ってる。
だから、礼などいらねぇ。
必要なのは、自身だ。
が俺の隣で笑ってさえくれれば、充分だった。
「・・まぁ、いっか」
が笑ってくれた。
それが、結果だ。
俺はもう考えるのを辞めて、店へと急いだ。
fin