第21章 CYCLAMEN
それから仕事が入らない土日はゾロと過ごす事になった。
金曜仕事終わりにゾロの家に向かう。
夜は、仕事に向かうゾロから遅れて店に行ったり 家に留守番したり様々だ。
大抵は1人での留守番は暇だから店に居る確率が高い。
暇潰しに仕事を持ち帰っても良かったのだが、ゾロの部屋で仕事する気には何故かなれなかった。
そして、今日もゾロの店へと顔を出す。
「上手くやってるみたいだな」
そう言ってニヤけるエースは、私の胸元を指差した。
『あっ、これはッッ!』
いつもは見えない場所。
胸元が開いた服を着ていた為に少し見えてしまっていた。
「順調そうで何よりだ。
ゾロのヤツはいいよな、プライベートも仕事も上手くいっててさ」
プライベートは、言われなくても順調なのは確かだ。
仕事の方も着々と順位を上げていると聞いている。
確かに、最近実感していた。
テーブルに付く時間が短くなっている事に。
『ゾロは、指名客多いの?』
本人に聞いても詳しくは、教えてはくれない。
いつもはぐらかされる。
「まぁ、増えてるちゃ増えてるな」
喜ばなきゃいけない事だとは、わかってる。
嬉しいとは思うけど何か複雑。
エースにその思いを気付かれない様にそっとグラスを口に運ぶ。
ゾロには知られたくない思いだから。
「おや、お姫さんじゃねぇか」
『ドフラミンゴさん・・』
「オーナー、おはようすっ」
テーブルに現れたドフラミンゴ。
そのままヘルプ席の椅子へ腰掛けた。
「オーナー、そこは・・・」
「フフフ、いくら何でも隣に座るわけにはいかねぇだろ?」
エースと隣り合って座るドフラミンゴ。
似合わないし、申し訳ない。
『大丈夫ですよ、こっちに座って下さい』
そう言って私が座っているソファー席にドフラミンゴを促す。
基本、客の隣は指名ホストの席。
今、ゾロはいないため私はドフラミンゴを誘った。
「いや、いい」
いつものドフラミンゴなら言わなくても座るのに、座らない。
ゾロに気を使うタイプではない事ぐらいわかる。
何故だ?