第3章 PHALAENOPSIS
「あー、だが、白はダメだ。
持って帰るなら白以外を持って行け」
白以外?
室内の胡蝶蘭は白一色と言っていい程白ばかり。
幸せを呼ぶ という花言葉の通り贈り物やお祝い事で皆んな白い胡蝶蘭を贈ってくれる。
「あの辺にあるだろ」
そう言って視線を向けた方に行ってみると白色に囲まれた中に一際目立つピンク色の花弁を付けた胡蝶蘭があった。
他のと比べて小振りの鉢植え。
だが、その色彩は白色より華やか。
『珍しい品種ですか?
でしたら、此処に置いておいた方が・・・』
「いや、が持って帰ってくれ」
『・・・これぐらいなら部屋に飾れるので鉢植えごといただきますね』
そう言うと社長は、嬉しそうに微笑んでくれた。
いつものあの意地悪そうな笑みとは違い、昔見た笑顔。
歳が離れていたため、兄のように慕っていたが だんだん会わなくなり何年か振りに会った時はまるで見知らね男の人だった。
『・・・いつも、そう笑ったらいいのに・・・』
「!!?」
『昔みたいに、私クロ君の笑顔好きだったんだ』
「・・・っっ、お前なッ・・・・」
プイッと顔を背けた社長。
一瞬見えたらその頬の朱色は、笑みを言われたからだと思った私はそれ以上何も言わず ピンクの胡蝶蘭を手に取り自室へと向かった。
オマケ→