第6章 2つ言っておくぜ
次の日。授業中火神と黒子は爆睡していた。流石にキセキの世代といるところとの試合は消費が半端ないようで。
正直、紫苑も少し疲れていた。
「紫苑―、一緒にお昼食べよー!」
「あ、ごめん。今日先輩に呼ばれちゃって…」
お昼を一緒に食べようと誘われるもごめんと手を合わせて断る。急いで教室を出、廊下に飛び出すとすでに皆集まっていた。
「なんすか?用って。」
「ちょっとパン買ってきて。」
急いだわりにはなんともベタな先輩のセリフ。あるわーとか一人思っているとリコが切りだした。
「実は誠凛高校の売店で毎月27日だけ数量限定で特別なパンが売られるんだ!」
「はぁ…」
「それを食べれば勉強でも恋愛でも部活でも必勝を約束されるという幻のパン。イベリコ豚カツサンドパン三大珍味、キャビア、フォアグラ、トリュフ乗せ税込2800円!」
「たっけぇ!」
「珍味ありすぎて逆に品がねぇ!」
ごてごてに着飾ったものほど見苦しいとはこのことだろう。
「海常にも勝ったし、ついでに幻のパンもゲットして弾みをつけるぞってわけだ。」
日向の言葉になんとなく頷けるものがあった。縁を担ぐのも悪くはない。
「だけど、狙っているのは私たちだけじゃないわ。…いつもよりちょっとだけこむのよ。」
ちょっとだけという言葉は安易に信じてはならない、と彼等は学ぶのであった。しかし、それはまだ先のことで、意気揚々と火神は笑った。
「パン買ってくればいいだけだろ。ちょろいじゃん、ですよ。」