第5章 逆襲よろしく!
それからの流れは第一クオーターとほぼ同じ、点の取り合いがっせん。体育館にいろんな声が飛び交う。そしてついに、同店まで追いついた。
ふと、耳が痛くなるような静寂が一瞬訪れ視線が止まる。笠松の呼びかけにハッと意識を取り戻すと次の瞬間、誰も見たことがないプレーが起こった。
黒子、火神をいとも簡単に抜く黄瀬。その動きは紫苑も黒子も見たことのない動きだった。
それを境にさらにヒートアップしていく。
「(残り十秒切った…もう少しだけ余裕があれば…!!)」
もう延長戦を戦う体力など、誠凛側には無いに等しくもしそうなれば負けとなる。後少しだけと思いながらも、紫苑自身余裕がなかった。
「護るんじゃダメ!!攻めて!!」
監督の判断は正しいと思った。攻撃は最大の防御。そう教えたのは、そう習ったのは自分自身じゃないか。残り数秒。日向の投げたボールは黒子の手に、その前に黄瀬。黒子にシュートはない。火神にリターンすると踏んだそのとき、黒子はそのままゴールを狙った。
スローモーションのように動くボール。だが、軌道はそれている。
「アリ―ウップだ!」
見ると火神が飛びボールを掴んでいた。させまいとブロックする黄瀬。
信じられないのは、この後だ。
「…(明らかに火神の方が飛んでいる時間が長い…!!いつまで、宙にいるの?!)」
鳥肌が立つ瞬間だった。