第5章 逆襲よろしく!
コートは一瞬にして静まり返った。
黒子が言ってた黄瀬の弱点。まさか、それが黒子自身だとは想像外だ。
「…火神でも歯が立たない黄瀬の弱点が…」
「…パス回し意外、コート上で最弱の…黒子君?」
紫苑も最初は驚いて息をするのも忘れていたが、リコの言葉を聞くなり眉をしかめた。黒子も嫌そうな顔で火神を見上げる。
「で?…確かに黒子っちのプレーだけは見ても無理っス。けど、それで何が変わるって言うんスか。」
半ば鼻で笑うようにして言う黄瀬。ホイッスルの音が響き第一クオーターが終わった。
「第一クオーター終了!休憩二分です。」
「変わるさ!第二クオーターでほえ面かかせてやる。」
自信満々に宣言すると、火神は黄瀬に背を向けた。ベンチに戻るなり、皆の目がスコアに吸い込まれるようにして動く。
27:35。
「…8点差か…」
「誠凛、なかなかやるじゃん。」
特に何も考えずに宙を見つめる紫苑との耳にまたしても怒鳴り声が響いた。竹内は相変わらず誠凛を舐めているようだ。
「ったく、何やってんだ!もっと点差をつけられたぞ!」
「はい!」
「基本がなってねぇんだよ。ハンズアップ!スクリーンアウト!リバウンド!」
「はい!」
「高さが勝ってんだからリバウンド押さえてくんだよ!!」
「はい!」