第4章 勝てねぇぐらいがちょうどいい
「タイムアウト終了です!」
「あぁ!黒子君しばいて終わっちゃったぁ!」
悲痛な声を発するリコの前に火神が立ちはだかった。
「このまま俺にマークを続けさせてくれ…ださい。」
「だから何それ。敬語?」
「もうちょいで、なんか掴めそうなんっす。」
「あぁ!ちょ、待てこら!とにかく、ディフェンスマンツーマンからゾーンに変更。中固めて黄瀬君来たらヘルプ早めに。黄瀬阻止最優先!」
「おう!」
威勢よくコートに戻る選手を見送りながら後ろで靴ひもを結んでいる黒子に声をかけた。
「あと、黒子君はちょっとペースダウン。思いっきり点差ひきはがされない程度にできる?」
「…やってみます。」
黒子は軽く頷くとふと立ち止まって紫苑を見、そしてリコと目を合わせた。
「監督、紫苑さんに何かあったら無理やり帰してください。火神君や先輩たちを回復させた分、今日はいきなり負担が重いです。」
「え?」
「いいから!黒子っちいいから!!ほら、早く行って!!」
紫苑は慌てると黒子の背中を押すようにしてコートに送り込んだ。リコの視線を受けながら、紫苑は唇をかんだ。黒子の言う通り、少し負担が大きすぎたのだ。