第4章 勝てねぇぐらいがちょうどいい
「彼のミスディレクションは40分フルには発動できないんっス。」
「ミスディ…何?」
「黒子っちの影の薄さは、別に魔法とか使ってるわけじゃなくて、ざっくり言えば他に気を逸らしてるだけ。一瞬なら俺にも出来ます。俺を見ててください。」
黄瀬はそう言うと、片手にボールを持ち、笠松の方を向いた。黄瀬はボールを後ろに軽く投げると笠松の目もそれに合わせてボールと同じように動く。
「…ほら、もう見てない。黒子っちは並はずれた観察眼でこれと同じことを連続で行って消えたと錯覚されるほど、自分を薄めてパスの中継役になる。…まぁ、やんなくても元から影は薄いんスけど。…けど、使いすぎれば慣れられて効果はどんどん薄まっていくんス。…もし、何か注意が必要だというのなら、それはしおりんス。」
「あのマネージャーが…?」
「しおりんがいるとこと戦うってことは、…ベンチとも闘うってことっス。」