第4章 勝てねぇぐらいがちょうどいい
神奈川県、私立海常高等学校。キセキの世代、黄瀬涼太を獲得したところだ。
「わー。広ぇ~。やっぱ運動部に力入れてるところは違うねー!」
そう、今日はここ、海常と練習試合の為、黒子達は会場である体育館へと足を進めていた。運動部が盛んな学校ならではの、広い道、広大な敷地。皆思わず息をのんだ。
「…火神君、いつにもまして悪いです。目つき。」
「充血してる…」
「うるせぇ。…ちょっとテンションあがりすぎてな…」
火神はそう言うと目を押さえた。
「遠足前の小学生ですか。」
「何を!」
黒子の毒舌に拳を握りしめようとしたその時、どこからか声が聞こえた。
「どうもっスー!!」
「黄瀬?!」
笑顔で駆け寄ってくる黄瀬に紫苑は少々苦笑気味に手を振り返した。
「広いんで迎えに上がりました。」
「どうも。」