第2章 黒子はボクです。
春。
薄桃色の桜の花びらが舞い散る中、私立誠凛高等学校では、新入生相手の部活勧誘で正門はにぎわっていた。
両端に各部活の机が置かれ、そこには仮入部希望書やら説明やら何やらの紙の束と、部長らしき人の姿。道に真ん中では手に部活紹介を描いた紙を持った先輩たちが声を張り上げている。
白華紫苑はそんな中、一人の少年と共に歩いていた。
紫苑「…黒子っちは、やっぱりバスケ?」
黒子「紫苑さんはどうするんですか?それだけの実力があれば好きなことやったらいいじゃないですか。」
紫苑は少し空を仰ぎ見た。まっさらな空に風に舞う桃色の花弁。
紫苑「でも、私はバスケ大好きだから。せっかく黒子っちと同じとこに入れたんだ。また、マネジやろうかな?ダメ?」
黒子「僕に聞かないでください。」
紫苑「じゃぁ、やる。」
白華の名前に似合った、白とも白銀ともいえる長い髪。それはかなり人目を引いているようで、通りすがる人はほとんどの人が振り返っている。
その視線を背中に嫌というほど感じるのはもう、慣れてしまったことだ。
二人は少し騒ぎから離れた掲示板に目を通すと、迷いもせずにあるところへと足を運んだ。