第5章 進化の予兆

流石の僕も、これには驚いた。

だって、皆の新曲を書けだよ?

僕が初めて書いて世に出す曲がQUARTET NIGHTの曲なんだよ?

嬉しさと困惑とでごっちゃだよ。


早「これは決定事項でーーす!!」


イコール、社長命令なんでしょ?

だったら何言っても無駄だし、僕としても楽しみである。

皆の曲で作曲家としてデビューできるなんて、これ以上の幸せは無いよ。


貴「皆には伝えてあるの?」

早「まだでーーす！だから、Youの口からせつめいしておいてちょーーだーーい！！！」


…………だと思った。

林ちゃんと龍也さんは口出ししてこないけど、見た感じ初めて聞いたようだし。

だったら尚更、皆が聞いてる可能性って限りなく低いから。


貴「………じゃ、行ってくる。皆は今どこ?」

日「だったら俺が送ってく」

貴「………良いんですか?龍也さんも忙しいでしょ?」

日「平気だ。それに、午後からカルナイのいるスタジオで撮影なんだ」


だったら丁度いい、のかな?

久々に龍也さんと一緒にいることができるし。


月「ちょっと!アタシのことも忘れないでよ!!」

貴「あれ?林ちゃんも一緒のスタジオ?」

月「そうよ。龍也と共演なの」

貴「へぇ～」


林ちゃん龍也さんの共演かぁ。

一体何の撮影だ?

バラエティとかかな?

龍也さん、ドラマとかの出演が多いからなぁ。

ちょっと想像できない。


日「おら、とっとと行くぞ美音。ついでに林檎も」

月「ついでとは何よ!つ・い・で、とは!!」

貴「はは;;」


苦笑いしか出て来ねぇ;;

この二人、時々些細なことでケンカしだすからなぁ;;

喧嘩するほど仲がいいっていうけど、この二人にぴったりだよ、ホント;;


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日「着いたぞ」

貴「ここって………、うちの事務所が経営しているスタジオじゃ……」

月「そうよ。最近、うちの事務所の子はよくここで撮影が行われるようになってきているの」


上を見上げてみると、かなり高い。

10階ぐらいは余裕にあるな、これ。

“シャイニングスタジオ”。

見上げた先には、ローマ字でそう書かれていた。


日「ボーっとしてねぇで、行くぞ」