【うたプリ】歌い手Minori、トリップします……?
第5章 進化の予兆
仕事が始まってからの皆は、もはやいつものおちゃらけた姿ではなく、“アイドル”として輝いている姿だった。
『月刊アイドルの星』を買って読もうとしていたけど、買った後はずっと皆の姿を見ていた。
これが本物のアイドルなんだと思い知らされた。
いっつも近くにいて忘れていたが、プロなんだと、改めて実感した。
そして今は、皆とマスターコースの寮に帰っている最中。
寿「ねぇねぇ!ぼくたちのこと、見ててくれた!?」
美「レイジ煩い」
黒「疲れたんだ。静かにしろ」
カ「黙れ、愚民め」
嶺二の言葉に皆が思い思いに言う。
これがいつもの光景で、僕も辛口な言葉を吐くんだけど、今日の僕は違った。
貴「見てたよ。流石、プロって感じだった」
「「「……………(ポカーン」」」
貴「……………何。僕、変なこと言った?」
藍以外の3人が驚きで固まっているのを見て、僕は聞いた。
嶺二なんて、口開けて固まってる。
藍はまあ、冷静そうだけど動揺はしてるね。
寿「えっ!?あっ、ヒメちゃん大丈夫!!?」
貴「何が」
こう返す僕は正常だ。
いきなり大丈夫かと聞かれても意味が解らん。
確かにいつもの僕だったら言わないだろうけど、たまには素直に返してみただけだ。
いっつっも嶺二に何かしら突っ込むのも疲れるし。
美「いつものヒメカらしい言葉ではなかったね」
貴「………僕、そんなに素直じゃないのか……?(上目」
美「!//」
貴「………………藍?」
美「//(プイ」
藍に聞いてみるといきなり赤面した。
仕舞いには顔すら背けた。
僕、何かしたか?
美(ヒメカ可愛い………って、ボクは一体に何を………!!//)
その後、蘭丸やカミュに聞いてもいつもの僕らしく内的な発言をされた。
解せぬ(´・ω・`)
それからの毎日の日々は特に変わったこともなく、普通に過ごしていた。
少し気になることがあるとすれば、ここ最近朝早くから仕事に行って夜遅くに帰ってくるということ。
皆に「大丈夫か?」と聞いてみても、「大丈夫」の一点張り。
林ちゃんと龍也さんも、ここ最近いつも以上に忙しいという。
そんな皆の慌ただしい日も過ぎていき、僕の誕生日である11月23日を迎えた。