第14章 言葉を吐息にのせて。(菅原孝支)
「い、言えません…」
「じゃあ、俺の都合の良いように取っていい…?」
「す…!すが…っんん…っ!」
赤い頬に、潤んだ瞳。
もう心がざわざわして、触れたくて。
どうしても触れたくて。
壁に先生を押し付ける形で唇を重ねた。
「…………」
「……勝手にキスして、ごめん」
一人で暴走して、勝手に反省して。
最低だな、俺…。
でも先生の反応はこれまた予想外のものだった。
「……っ!」
離れた唇に再び触れる、体温。
目の前の事を理解するまでに時間がかかった。
先生が…俺にキス、してる…?
「せ、先生…?!」
「……そんな風にされたら、私だって菅原くんに触れたくなっちゃうでしょう…」
「ん……っ!」
嬉しい、けど…これ以上はマズイ…!
俺の暴走が止まらなくなる…!!
「、先生…!もうこれ以上はっ…俺、色々、我慢利かなくなるから…」
そう言って先生の体を自分から離そうとしたけど、俺の手はあっさりと先生に捕まってしまう。
「えっと…先生…?」
「私が、それでいいって言ったら…?」
「え…?」
「我慢しなくていいって言ったら、その色々を…してくれるの?」
そう言った先生の唇はさっきのキスで潤っていて、すげーそそられた。
僅かばかり残ってた俺の理性も吹っ飛んで、
ここが体育館だとか、
実習生と生徒だとか、
誰か来るかもとか、
そんな事頭から綺麗さっぱり消えてしまった。
「んっ…んぅ……」
「ん…先生………」
今日初めてお互いに求め合ってしたキス。
頬と腰に手を添えて、少し開いた唇に舌を滑り込ませる。
舌を入れてすぐ、先生の舌とぶつかった。
感触を覚えておきたくてゆっくりと絡め合う。
時々漏れる先生の吐息が、俺の脳みそを痺れさせた。
ガラガラ、ガタン。
扉を閉める音が体育館に響く。
真っ暗な空間で唯一の光は窓からの月明かりだけになった。