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蜜月の熱に酔わされて。(ハイキュー R-18)

第14章 言葉を吐息にのせて。(菅原孝支)


「先生っ!今のクロス見てくれてたっスか!?」
「先生ーッ!俺のローリングサンダーも!!」

「田中くん、西谷くん、もちろんちゃんと見てたよ!格好良かった!」

先生が教育実習に来て1ヶ月。
バレーボール経験者の先生は男子バレー部の手伝いをしてくれる事に決まったまでは良かったんだけど…。

「先生っ!サーブ!入った!」
「見てたよ日向くんっ!その調子だね!」

2年、1年の懐き様がすごい。
そりゃ、先生は明るくて可愛いし…あいつ等の気持ちはわかるけど…。

あ、また日向のヤツ頭撫でられてる。


「そんな顔するくらいならお前も行けばいいだろうに」
「うおぉっ…!?だ、大地……!」

突然後ろから掛けられた声に思わず肩がビクついた。
深呼吸を一回、ゆっくりした後に大地の方へと振り返る。

「脅かすなよ…行けるわけないだろ…俺は派手なプレー出来ないんだしさ」
「別に話し掛けるくらい出来るだろ」
「いや……」

チラリと先生の様子に目を向ければ今度は縁下と笑って話をしている。
何となく見ていたくなくて俺はコートの隅へと視線を逸らした。


「よーし!そろそろ上がれ!日向、影山!聞いてるか!?」

大地の声で皆は片付けを一斉に始めた。
今日の鍵当番は俺。
体育館の見回りをして扉へ向かう。
忘れ物はハンドタオル1枚っと。
明日の朝練に持っていけば問題ないだろ。


「きゃあっ!?」
「えっ?!うわっ…!」


扉を出ようとした所で、入ろうとしていた人とぶつかった。
尻餅をついたその人を見て俺は慌てて手を差し伸べた。

「先生…っ!?すいません!俺、前見てなかった…です、」
「菅原くん…!ごめんね、驚かせちゃった…」
「いや、俺は大丈夫…です」

自分の方がきっと驚いてドキドキしてるはずなのに俺を気遣って笑ってる。
あぁ…ダメだ、やっぱ可愛い…。

違う、それだけじゃない。

「菅原くん…?」




俺は、この人が。

この人の事が。


「す…が、わらくん………」


「先生、ごめん、俺…先生の事…好き、です」



きっとこんな事告げちゃいけなかったんだ。

先生が小さく息を飲んだのがわかった。


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