第13章 君と始める恋愛物語。(岩泉一)
「んっ……岩泉、くん…!」
胸元で動く岩泉の右手を見ればジャージを脱がしに掛かっている。
抵抗しようと手を動かしてみても、両手共未だガッチリと押さえられていてビクとも動かない。
「そんなんじゃ抵抗の内に入んねぇよ、やるなら思い切り蹴り飛ばせ。しねぇなら、このまま進める」
ジャージの前は開かれ、岩泉の手はのTシャツの裾へと伸びる。
「大声出せば…誰か来るかもしんねぇな、どうすんだよ」
「…………」
岩泉くんは、どうにか私に止めさせようとしている気がしてならない。
そして自分を蔑んで欲しがってる様に見えた。
本気で酷いことしようだなんて思ってないんだ。
そんな岩泉くんだから、私は。
「………やめなくて、いいよ」
「……は?」
「私と及川くんは何もない…私はずっと、岩泉くんが好きなんだから…っ」
の告白に岩泉は目を丸くして驚いていた。
「だから、やめなくていいの…」
「……っ、」
の気持ちが、まさか自分に向いているなんて思いもしなかった。
見つめた彼女の目は、真剣そのものだった。
「………俺で、いいのか」
「俺で、じゃないよ。岩泉くんが、いいの…」
お互いに引き寄せられるように顔を近付け、唇を重ねる。
「ん…っぅ…あっ…!」
キスの合間に岩泉はのTシャツの裾から中へ手を入れる。
動かされるその手に、さっきまでの迷いはもうない。
「…んっ……、岩泉、くん…ホントに、その…ここで…?」
同意はしたものの、さすがに校内で情事はマズイのではないだろうかと言う気持ちがの脳裏に浮かぶ。
真面目な岩泉もそう思っているのではと確認してみるが、それはすぐにはね除けられてしまう事となる。
「俺が良いなんて言われて、今更止まれるわけねぇだろうが」
「……っんぁ、」
Tシャツの中でズラされた下着。
骨張った男らしい岩泉の手が、柔らかなの肌に触れた。
火が着いたこの男を止める事なんてには到底出来やしない。
そもそも火を着けたのは、自身なのだから。