第11章 再び窓は閉められた。(国見英)
「あぁ…っ、はぁ…っあ、きら…っ!」
国見を見る瞳には困惑の色が濃い。
それを読み取った国見は口を開いた。
「俺は、好きでもない女は抱けない」
喋りながら腰を進める。
「…これでわかんないって言うならまた怒るからな」
の目に期待の光が灯った。
「…っあ、ん…んんっ!んはぁ…」
指では届かなかった更に奥を容赦なく責め立てる。
さっきまでお互いの心を支配していた不安は消え去っていた。
今あるのは、お互いを愛おしいと思う気持ち。
「…っ、馬鹿…そんな締めん、な」
「んっんっ…わか、んな…っぁ…んっ!」
お互いがお互いを求め合うように腰を振る。
もっと、奥へ。
もっと、深く。
「……っ、、」
「あぁぁぁっ…ダメぇぇ…っ!!」
お互いをキツく抱き締めたまま、絶頂の波が過ぎ去るのを待った。
「…てか、ホントに一人でやってけんの」
「う、うん…!大丈夫!だと思う…!」
情事の後、淡々と後処理をする国見とは対照的に「恥ずかしい」「こっち見ないで」と騒ぎながらやっとこ着替えを終えた。
漸く落ち着いたので国見は窓を少し開け、気怠さの残る部屋の空気を入れ替えた。
「自分で決めた、から…頑張る」
「…あっそ」
「あ、それに!一人じゃないの!」
「…は?」
「影山くんもいるの!」
何が楽しくてセックスの後に他の男の名前を聞かなきゃならないのか。
しかも、影山なんかの。
国見の眉間に深く皺がよった。
地雷を踏んだ当の本人は新生活への決意を熱く語ろうとしている。
「だから私も、英に負けないように…」
ダンッッ!!
「!!!……あ、きら…?」
大きな音を立てて床を踏み鳴らした国見は、ジトリとした視線をに向ける。
「………え、と…」
そこでやっと自分が何かやらかしたとは気付くのだ。
「?!」
だが、気付いた時には既に遅い。
「入学式までに他の男がチラつかない様にしないとだな」
「え?え?えぇっ!?…ちょ、待…!!あぁ…っ」
窓は再び閉められた。
END