第2章 心も体も素直になって。(日向翔陽)
夕方の日向家。
久々に訪れたこの家で私はこの家の長男に何度目かの告白を受けている。
「俺っ…ホントに姉の事す、好きだよ?!」
「うん、私も好きよ、翔陽のこと」
「じゃ、じゃあ…!付…ー」
「付き合わないよ?」
「えっ?!」
初めての告白は確かまだ翔陽が小学六年生だった頃。
そこから毎年、夏に実家に帰るついでに日向家に寄れば告白をされてきた。
今年で、5回目。
つまりあれから5年経っている。
5年前、県外の私立女子高に通っていた私も二十歳を迎えた。
「あのね…翔陽、私達5つも歳が離れてるんだよ?翔陽まだ高校に入ったばかりじゃない…」
「それは…もう、毎年聞いてる、けど…それでも俺っ!諦めなんてつかない!」
「…翔陽、」
「……姉は俺が、子どもじゃないってわかったら付き合ってくれるの?」
「え?」
突然、景色が変わる。
一瞬目を瞑って、次に目を開けると飛び込んで来たのは翔陽の真剣な顔と天井。
この状況を理解するまでに数秒。
「お、俺だってどうすれば良いのかくらい…わ、わかるからッ…!」
そう言い終わるか終わらないかくらいの最中に落とされたフレンチキス。
驚きはしたけど私はまだ冷静でいられた。
それよりもキスを仕掛けてきた本人の方が茹でダコだ。
「…ふ……」
「!…???」
急に小さく笑い声をあげた私の顔を首を傾げながら翔陽は見る。
その頭にはクエスチョンマークが並んでるのが聞かなくてもわかった。
もうダメ、可愛い。
翔陽の事は私も好きだったけど、5つも年下の男の子と付き合うって言うのは中々踏ん切りがつかなくて。
でも、もうダメ。
こんなに可愛いアピールされたら折れるしかない。
「あっ…姉っ…?」
体勢は押し倒されたまま。
私は腕を伸ばして翔陽の首に巻き付けた。
そして優しく引き寄せて、唇を重ねた。
さっきよりも、長く。
さっきよりも、ゆっくりと。
さっきよりも、いやらしく。