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蜜月の熱に酔わされて。(ハイキュー R-18)

第8章 はじまりの誓い。(菅原孝支)


「先生っ!」

駅から少し離れた住宅街の一角にあるマンション。
そこから出て来た女性の名前を菅原は大きな声で呼んだ。

「す、菅原くん…!シーッ!目立っちゃうよ…!」
「あ、ごめん…でも、久しぶりに二人で会えるから嬉しくて」

謝った後にふわりと笑った彼からは楽しみで仕方なかったと言う気持ちが滲み出ていた。
名前を呼ばれた彼女、もそんな思いを読み取ってか同じ様に微笑んだ。



表向きは英語教師と生徒。
本当は彼氏と彼女。



それを隠し通して一年。
二人で会う事も堂々と出来ず、電話とメールで愛を育む事が主だった。
毎日顔は合わせていても寂しくて寂しくて。


でもそんな毎日も、明日で終わる。


「中、入ろう?暖かくなってきたけど夜はまだ冷えるしいつまでも外にいたら風邪引いちゃうよ…明日は大事な日なんだから」
「……うん、やっと…やっとだ」
「………そうだね」


本当に待ち望んでいた。

明日は、卒業式。
卒業すればもう隠れて会わなくたっていい。
手を繋いで出掛けたり、行きたい場所、やりたい事なんだって叶うんだ。


「菅原、くん……?」
「ごめん…、明日の事考えたらさ…なんか気持ちが抑えられなくて」

玄関に入るや否や、菅原は前を歩くを抱き締めた。
背中に感じる菅原の体温と久しぶりに感じる彼の匂いにの胸もきゅうっと締め付けられた。

くるりと向きを変えて菅原の胸に頭を預けた。

「…私も、ずっと待ってたよ」
「…、先生」
「んっ……!」

どちらからともなく唇を寄せ、重ね合わせる。
もつれ合いながら靴を脱ぎ捨てそのままベッドルームへ。

「ん…孝支、く……っん…」

いつの間にか菅原の事を名前で呼ぶ。
それはが無防備になれた事を示す。
誰にも邪魔されない、この部屋でのみ許される事だった。

二人でベッドに横たわるとフローラルな香りが菅原の鼻を擽った。

「…先生の匂い、俺大好き」
「そんな事言われたら私だって孝支くんの匂い好きよ、すごく落ち着く…」

襟元にすり寄るに菅原はごくりと喉を鳴らしてしまう。
がっつかないで余裕のある男でいたいのに、そんな事されたら。



「我慢、出来るわけない…」




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