第4章 魔法にかけられて。(及川徹)
がよがるその一点を、及川は何度も何度も突き上げた。
の瞳からは生理的な涙が溢れ落ちる。
「やっ…あ、徹、くん…!わたし、も…ぉ…!」
「うん…いいよ…っ」
も及川も、奥から込み上げて来る波に身構える。
身を任せて大丈夫、そう意味を込めて及川はにキスを落とした。
の身体がビクンと跳ね上がったのを見届けて、及川もラストスパートをかける。
「俺も…っ、くっ…!」
頭の中がふわふわして心地良い。
「………」
及川の腕に抱かれながらはぼんやりとそう思っていた。
「徹くん…私、可愛くなれるかな……」
「ちゃんは…俺に恋して俺に愛されて、益々綺麗になるんだよ」
魔法をかける様に及川はの耳元に唇を寄せて囁いた。
その魔法は、まるで甘い媚薬。
じんわりと心に染み込んでゆっくりと身体の一部になっていく。
翌日…ーーーー。
「よう」
「一くん、おはよう」
「昨日お前、行方不明だったんだってな」
「ゆっ…!?そんな大事じゃないよ…!」
登校途中に会った岩泉の発言を慌てては否定した。
「で、その行方不明のオヒメサマを見つけ出したのは俺でーす!」
「ひゃ…!と、徹くん…!」
二人の後ろから走ってきた及川は思い切りに抱き着いた。
「朝から安定のウザさだな」
「ちょ、岩ちゃんヒドイ!」
「お前、本当にコイツで良いのかよ?」
及川とが付き合うことになったのは昨夜の内に及川が岩泉に電話で伝えていた。
は顔を赤くしてごにょごにょと話し始める。
「私ね…昔から徹くんは魔法使いみたいだなって…思っていたの、周りの人をいつも笑顔にしちゃうから。でもね、私の…王子様になってくれるって…私、すごく嬉しかったの…!」
そこまで言い切り、ふと我に返ったは恥ずかしさが込み上げる。
「わ、私…先に行くね…!」
小走りで先に行ってしまった小さな背中を及川と岩泉は見つめる。
「何あれ、かーわいー…岩ちゃんもうちゃん俺のだかんね、取っちゃダメ」
「…泣かしたら取る」
「えーっ!?」
貴方の言葉は、魔法ーーーー。
END.