第1章 信じることのできない出会い
「大丈夫?」
!
突然、後ろから声をかけられたのでびっくりしてしまった。
声の主は‘霜月隼’だ。
暗闇の中光る彼の髪は、ここら一帯の闇を切り開くようにまぶしかった。
私はただ何もできずに座り込んでいた。
「ごめんね、少し急いでしまって。立てる?」
『あ…はい…』
彼の手を借り、なんとか立った私はいつの間にか体が震えていた。
「…さあ、行こうか。」
彼は歩き出す。
さっきと違うのは、歩く速さを私に合わせてくれていることと、手をつないでいるということだ。
手をつなぐのは、これで二回目。
暖かい。どこか優しさのある手。
ああ、まただ。
また助けられてしまった。