第4章 “隼”からのお誘い
『ではでは、僕らの家ツキノ寮にご案内いたしまぁぁぁす!』
と、駅を何本か乗り継ぎついたここは、どうみてもマンション…。
隼さん…隼曰く、“寮”らしいが。
さすがアイドルの寮とでもあって、警備はしっかりとしているようだ。
「僕らはツキノプロダクション…ツキプロに所属していて、この寮はツキプロ所属のユニットが住む寮なんだ。Procellarumは関西、Six Gravityは関東出身のユニットで、それぞれ6人のメンバーがいるよ。2グループ合わせての仕事も多いから、寮も近くにされてる。で、ProcellarumはSix Gravityの後続ユニットで…」
と、大体の説明をされ、なんとなく知識が増えた…ような気がする…?
最後らへんは、Six Gravityのリーダーの“はじめ”さんについて熱弁していたが…。
でも彼の話を聞いていて、みんなとてもいい人なんだなとわかった。
聞いていて、とても楽しかった。
“はじめ”さんの話をしているうちに、エレベーターに乗りその寮についてしまった。
「みずきちゃん」
『はい?』
「ここが僕らの家。」
彼は穏やかな笑みを浮かべ、扉を開け玄関へと私を案内した。
…彼にとって、ここが大事なところなんだなと思えた。
『お邪魔…します。』
私が中に入ると、続けて隼も中に入り、自然とドアの閉まる音がする。
そのとたんに、バタバタを駆ける音がしてきた。
その音はだんだん私たちの方に近づいてきて…。
「おや?お出迎えかな?」
彼の言った通り、つきあたりの壁から1人飛び出してきた。
「隼さーーん!おかえりなさ…い!?」
さっきのさっきまで満面の笑みだった彼の顔は、私をみて凍りついた。
「あぁ、紹介するね。
彼はSix Gravity…通称グラビ所属の師走駆。年少だから、君より1つ年下かな。」
『あぁ…はい…はじめまして、月詩みずきです…。』
いきなり現れた住人に、軽い自己紹介と会釈をする。
他の住人がいることは当然知っていたが、いざ会うとなると緊張してしまう。
その駆さんは…固まっている。
「駆さーん?隼さん帰ってきた…って、え?」
今度は駆さん…の背後から服のセンスが妙にいい人が現れた。