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【HQ】光の射す世界【Egoist✕光など無い世界】

第1章 日常の中の非日常(及川視点)


 夕べは何時もより少し夜更かしをした。とは言っても、自分の部屋で少し遅くまでバレーの試合を見ていたってだけで、特別何処かに行った訳でもなく、試合を一通り見終えると、自分の布団で寝たし、起きたら当然のように、自分の部屋にいる訳で、いつもと変わらない朝の筈だった。なのに、俺の隣ですやすやと気持ちよさそうに眠る女の子。女の子をお持ち帰りした覚えもないし。ていうか実家暮らしな訳で女の子を部屋に泊めるなんてそんな事したら俺の首が飛ぶ。そして何より、俺は隣で眠る彼女を知らない。全く見覚えがない。ていうか、彼女はどうやって家に、どうやって俺の部屋に。考えても考えても答えは見つからない。


「ねえ、ちょっと君、」


 彼女を起こし、彼女の口から話を聞かないことには俺の知りたい答えは見つからない。そう思い、彼女を起こそうと声を掛け、彼女の肩に触れようとした瞬間、一瞬の出来事て何が起きたか分からなかったが、俺は今多分、隣で気持ちよく寝てたであろう彼女に拳銃を突きつけられている。彼女が起き上がって俺に拳銃を突き付けるまでのその動作が早過ぎて、自分のおかれている状況を瞬時に理解する事が出来なかった。


「及川さん?!」


 俺の顔を確認した彼女は、俺の名前を呼んだ。彼女はどうやら俺の事を知ってるらしいけど、俺は彼女を知らない。
 彼女は俺に突きつけた拳銃を引っ込めた。


「どうして及川さんが俺の部屋に?」
「どうしても何も、ここは俺の部屋なんだけど。」


 そう言うと、彼女は周りを見回した。そして、再び俺に銃口を向けた。


「あなた、誰?」
「いやいや、それはこっちの台詞だし!それに君、さっき俺の事及川さんって呼んだじゃん!俺の事知ってるんでしょ!?てか、玩具の銃なんか持って、もしかして、君あれかな?厨二病ってやつ、」


パンッ


 部屋に響く乾いた銃声。窓に向けられて撃たれた玉は、その銃が本物である事を物語っていた。部屋に火薬の臭いが充満した。


「違う、あなたは及川さんじゃない。なのに、どうしてそんなに及川さんに似てる?」


 彼女の鋭い瞳に捕らえられた俺は、言葉を発する事が出来なかった。



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