第2章 If 木村良平 is ヤンデレ……
目を覚ますと、私は監禁されていた。
『え!?なに………え、はあ!?』
なぜか腕は後ろで縛られ、足も紐で固く結ばれた状態でベッドの上に横たわっていた。部屋の電気は付いてないし、おまけに暗幕カーテンで窓も締め切られているから、今の時刻も分からない。なにより、この状況が分からない。
理不尽すぎる。
いやいや、待て待て待て。
幸いと呼んでもいいのか、口は塞がれていない。どんどん目も暗い所に慣れてきた。ここはどうやら、アパート、またはマンションの一室のようだ。叫べば、助けてもらえるかもしれない。
すぅっと大きく息を吸い込む。
そして、叫ぼうとしたその時。
「あ〜………無駄なことは止めた方がいいよ?」
『ふぇええええ………?』
肺いっぱいに吸い込んだ空気が行く宛もなく吐き出せれ、なんともお間抜けな感じの声が出た。
『りょ、良平くん!?』
現れたのはなんと、良平くん。
私の彼氏さんだ。
「おはよ、スズ♪よく眠れた?」
おおっと?
んー…………、あんまり考えたくないんだけど………。
『私を監禁したのって…………』
「俺、だよ♪」
なんとも爽やかないつも通りの笑顔を浮かべ、あっさりと自分がしたと認める。こんな風に言われてしまっては、怒る気も湧かない。
『ほぉ………』
なぜだろう。
不思議と恐怖さえ湧かない。
例え、こんなことをされようとも彼を好きだからだろうか。だとしたら、なんて歪んだ愛なんだろう。私は少し自嘲気味に微笑んだ。