第1章 はじまり
ハァ……
ハァッ……
ドンッ‼
曲がり角でぶつかったのはお母さんだった
「あああー‼‼よかった…会えてよかった…‼」
「大丈夫⁉怪我はない⁉」
「うん…大丈夫!お母さん!お父さんは⁉早く逃げよう!」
「それが…お父さんがっ…お父さんがいないのぉー‼」
いつもいる仕事場にも、近所のおじさん家にもいなかったらしい。
お母さんはすごく取り乱していた。
「…あなたは先に逃げなさい
お母さんはお父さんを探してから行くから…!」
「そんな!やだよ!お母さんも一緒に行こう!
私もお父さん探す!」
「…‼ここは危険だわ!
お母さん必ずお父さんと行くから…ね?大丈夫よ」
お母さんはニコッといつもの笑顔で笑った
「………うん。わかったよ…
早く来てね!」
「!港に着いたら知ってる人を探しなさい!
その人と一緒にいなさい!
お母さん必ず行くから…ね?」
そう言ってを強く抱きしめる
悲鳴とともに人の波が横を通りすぎた
「さ、早く行きなさい!」
「うん!!」
は母と別れ
港を目指して走った