第5章 人
「続きは…ここを出てからだな」
そう意地悪く言う
「なぁ
お前人を殺せるか?」
「な…急になんですか…
殺せるわけないです…!!」
「順調にいってればそろそろクリスタが憲兵団を連れて戻ってくるだろ
……殺せるか?」
え…私が…人を殺す…?
「あいつは気絶程度でいいと言ったが
それじゃあ目覚めた時に全てを話すだろ
クリスタのことを…
そうなればレイス家にも話がいき
いずればれる
…あいつは名前を変え今後一切レイス家と関わらないことを条件に生きてるんだろ
ばれれば、クリスタが殺される」
そうだ…クリスタは…それを覚悟で…
「どうだ?
まあ、無理強いはしない
鍵さえ開けてくれれば後は俺がやる」
いや、リヴァイさんはそんな体で動くことなんて無理だ
私が…やらなきゃ…
「…大丈夫です
やります」
「………できるのか?」
「クリスタもリヴァイさんも…
みんな命をかけてくれてるのに
私だけ守られてるばかりじゃいけない
やります」
「そうか…
お前の手を汚させるなんて
本当はしたくねぇが…」
「私の手は、もう汚れてます
何度も巨人を殺しましたから…」
私は懐に忍ばせておいたナイフを取り出し
握りしめた
大丈夫
巨人を仕留める要領で
一撃で
仕留める…
その時
ギィィィーッと扉が開く音がした
「くるぞ、隠れてろ」