第1章 はじまり
しばらく歩くと地上に出た
そこは港で、たちの住むシガンシナ区からウォールマリアの中へ入るための連絡船が来ていた
港は生き延びた人々でごった返し
我先にと船に乗ろうとするものだから大混乱を招いていた。
リヴァイはその様子を見てチッと舌打ちをすると
「おい…おんな子どもは優先的に船に乗れるだろ
行け」
と促した。
でもはためらった
まだお母さんとお父さんが来ていない。
私だけ先に乗れない
「どうした?」
「…まだ家族が来てないんです。絶対行くからって約束したから待ってないと」
リヴァイはさらに険しい表情をしてこちらを見る
「…あの様子じゃあ、もう無理だ
早く乗れ
お前の家族がくる前に巨人がきちまうぞ」
「嫌です!私…もうちょっと待ちます
リヴァイさん先に乗ってください!」
リヴァイはこちらを睨み
フッと視線をはずすと
「ああ…勝手にしろ」
と呟き、船の乗り場とは違う方向に歩き出した
「あ…!
リヴァイさんー!本当に!ありがとうございました!」
背中にむかって叫ぶが
振り返ることもなく人混みに消えていった